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Tsubameyado blog -side art-

切り絵でしか、描けない。2

「研ぎ澄まされた刃の美しい
その切っ先によく似た、そなたの横顔・・・」


これは皆さんご存知の、有名な歌の言葉ですが、
切り絵を作っていて、自分はそんな切り絵を作りたいんだな、と思いました。
昔からずっと感じていた感覚が、この歌詞に集約されているような気さえします。

研ぎ澄まされた刃の、美しい切っ先によく似た横顔・・・

ものすごい言葉だと思います。
切っ先、
例えばこの言葉だけでも、息の一瞬止まるような緊張感を感じます。

「美しい」と「綺麗」も、似ている言葉のようですが、全然、違います。
美しい・・・、
とてもパワーのある、重い言葉です。


自分が切り絵である"最大"の理由は、
「持ち上げられることが出来るから」
「光を通すから」
「切るという感覚が楽しいから」
では、ないように思います。

それよりももっと大きな理由。
それが、この歌詞にあるかもしれません。

自分の切り絵の半分以上は、下書きがありません。
見えない線を、直感の一回で引いています。
見えない線、
そこに、一分後にはあるはずの線。
それを、心の眼で見るような感覚……

そして、切る前に確認します。
本当に、その線でいいのか?と。



そして紙は、生きているように、まさに刻々と、変わっていく。

自分の切り絵は、その過程が、一番時間と神経を使います。


後悔しないように生きる。
永遠、というものですら、一瞬一瞬の積み重ねで出来ているといいます。
それなら自分は、この一瞬に賭けます。